不動産会社から紹介された「倉庫」なら倉庫業登録できますか?
「不動産会社から倉庫物件を紹介されたのですが、この建物で倉庫業登録はできますか?」
「不動産広告に『貸倉庫』と書かれているので、営業倉庫として使えると思っているのですが、大丈夫でしょうか?」
倉庫業を始めようとする方の中には、このような疑問をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
結論から申し上げると、不動産会社から「倉庫」として紹介された物件であっても、当然に倉庫業登録ができるわけではありません。
不動産としての「倉庫」と、倉庫業法に基づく登録を受けて使用する「営業倉庫」では、確認すべき条件が異なるためです。
一般的な倉庫として使用できる建物であっても、倉庫業登録に必要な施設設備基準などを満たしているとは限りません。
今回は、不動産広告に掲載されている倉庫と営業倉庫の違いや、物件を契約する前に確認しておきたいポイントについて解説します。
1.不動産広告の「倉庫」と倉庫業法上の「営業倉庫」は違う
不動産広告では、建物の用途や利用方法を示すために「倉庫」「貸倉庫」「物流倉庫」などの表現が使用されています。
しかし、広告に「倉庫」と記載されていることは、その建物が倉庫業登録に必要な条件を満たしていることを意味するものではありません。
例えば、企業が自社の商品や資材を保管するために使用している倉庫と、他人から寄託を受けた物品を保管する営業倉庫では、事業の性質が異なります。
倉庫業法では、原則として、寄託を受けた物品を倉庫で保管する事業を営もうとする場合に登録が必要となります。ただし、事業内容によっては適用除外などに該当する場合もあるため、個別の確認が必要です。
そのため、不動産広告の表記だけで判断せず、予定している事業が倉庫業登録の対象となるか、候補物件が必要な基準を満たせるかを確認することが重要です。
2.建築基準法上の「倉庫」と倉庫業登録は別の問題
不動産会社から紹介された建物について、建築関係資料に用途が「倉庫」と記載されている場合があります。
しかし、建築基準法上の用途が倉庫であることと、倉庫業法に基づく登録が認められることは同じではありません。
建築基準法では、建物の用途、構造、敷地の条件などについて確認が必要になります。
一方、倉庫業登録では、関係法令への適合に加え、倉庫の区分に応じた施設設備基準などを満たす必要があります。
また、建築基準法上でも、自家用の倉庫と倉庫業を営む倉庫では、用途地域による制限などの取扱いが異なる場合があります。
したがって、建物の用途が「倉庫」であっても、予定する営業倉庫としての利用が認められるかは別途確認する必要があります。
3.不動産会社から紹介された倉庫で確認したい5つのポイント
① 用途地域と建物の利用目的
まず確認したいのが、候補物件の所在地と用途地域です。
建築基準法では、用途地域によって建築物の用途が制限されています。
そのため、倉庫として使用されている建物でも、倉庫業を営む倉庫として利用できるかどうかを確認する必要があります。
また、地区計画などによる制限が設けられている場合もあります。
所在地や用途地域を調べたうえで、必要に応じて建築行政を担当する自治体に確認することが大切です。
② 建築確認済証・検査済証などの資料
次に確認したいのが、建築関係書類です。
代表的な資料として、次のようなものがあります。
- 建築確認済証
- 検査済証
- 建築計画概要書
- 建築確認台帳の記載事項に関する証明書
- 建物の平面図や配置図
- 構造関係の図面や資料
- 過去の増築・改修に関する資料
特に古い倉庫では、これらの資料が十分に残っていない場合があります。
書類がないことだけで直ちに登録できないと決まるわけではありませんが、追加の調査や専門家による確認が必要になる可能性があります。
契約前に、不動産会社を通じて貸主に資料の有無を確認しておくことが望ましいでしょう。
③ 建物の構造と床の強度
倉庫では、保管する物品の重量に耐えられる構造や床の強度が重要です。
例えば、重量のある商品や資材を保管する場合には、床の強度が事業計画に適しているかを確認する必要があります。
不動産広告に床荷重の数値が記載されている場合もありますが、その表示だけで倉庫業登録の基準を満たすと判断できるわけではありません。
必要に応じて設計図書などを確認し、建築士などの専門家による検討が必要になる場合があります。
また、建物の老朽化や過去の改修状況によっては、追加の調査が必要になることもあります。
④ 防火・防水・防犯などの設備
倉庫業登録では、倉庫の区分に応じて施設設備基準が設けられています。
例えば、次のような事項が関係する場合があります。
- 防火に関する性能や設備
- 消防法に基づく必要な設備
- 雨水の侵入を防ぐ構造
- 湿気への対策
- 防犯設備や施錠設備
- その他、保管する物品に応じた設備
必要な基準は倉庫の区分や保管物品によって異なるため、すべての倉庫に同一の設備が必要というわけではありません。
一般的な貸倉庫として利用されている建物でも、営業倉庫として使用するには追加の設備工事が必要になることがあります。
⑤ 貸主の承諾と賃貸借契約の内容
賃貸物件の場合には、建物の条件だけでなく、契約内容の確認も重要です。
例えば、貸主が自社商品の保管を想定して貸し出している物件について、他社から寄託を受けた商品を保管する営業倉庫として利用する場合、契約上の使用目的に問題がないか確認する必要があります。
また、施設設備基準を満たすために改修工事が必要になった場合、貸主の承諾が必要になることもあります。
倉庫業登録を前提として物件を借りる場合には、営業倉庫としての利用や必要な工事について、契約前に貸主・不動産会社と協議しておくことが大切です。
4.不動産会社に確認しておきたいこと
候補物件を紹介された段階で、不動産会社に次のような事項を確認しておくと、倉庫業登録に向けた検討を進めやすくなります。
- 建物の建築確認済証や検査済証はありますか?
- 建築関係の図面は残っていますか?
- 建物の正式な用途は何ですか?
- 過去に増築や用途変更を行っていますか?
- 床の強度が分かる資料はありますか?
- 営業倉庫として使用することについて貸主の承諾は得られますか?
- 必要な設備改修を行うことはできますか?
これらの質問に対して、不動産会社がすべての回答を持っているとは限りません。
その場合には、貸主への確認や、建築関係資料の取得などが必要になります。
また、不動産会社が「倉庫として使用できます」と説明していても、それが倉庫業法上の登録可能性を保証するものではない点に注意が必要です。
5.「以前も倉庫として使われていた」場合は大丈夫?
不動産会社から「以前の入居者も倉庫として使用していました」と説明される場合があります。
しかし、以前の利用方法が自社商品の保管だったのか、倉庫業法に基づく登録を受けた営業倉庫だったのかによって、確認すべき内容が異なります。
また、過去に営業倉庫として使用されていた建物であっても、新たに事業を行う際に必要な登録手続きや施設設備基準への適合について確認が必要です。
建物の設備や利用状況が変わっている可能性もあるため、過去の使用実績だけで判断することはできません。
6.契約後に登録できないことが分かった場合のリスク
倉庫業登録を前提として賃貸借契約を締結した後に、登録上の問題が判明する場合があります。
例えば、施設設備基準を満たすために想定外の改修工事が必要になったり、建築関係資料の確認に時間がかかったりすることがあります。
場合によっては、予定していた用途での利用が難しく、別の物件を検討しなければならない可能性もあります。
その間も賃料などの費用が発生する場合があるため、事業開始までの資金計画に影響することが考えられます。
こうしたリスクを減らすためにも、物件を契約する前に必要な条件を確認しておくことが重要です。
7.行政書士に物件資料を見てもらうことはできる?
不動産会社から紹介された物件について、倉庫業登録を前提とした行政書士への相談は可能です。
物件の所在地、建物の図面、建築関係資料、保管予定の物品などが分かれば、登録に向けて確認すべき事項を整理できる場合があります。
ただし、行政書士が物件資料を確認しただけで、倉庫業登録ができると確定するわけではありません。
建物の構造安全性や建築基準法への適合性など、専門的な判断が必要な事項については、建築士や関係行政機関などへの確認が必要になる場合があります。
まずは、手元にある物件資料をもとに、どのような確認が必要かを整理することが大切です。
8.まとめ|不動産広告の「倉庫」という表示だけで判断しない
不動産会社から「倉庫」として紹介された物件であっても、当然に倉庫業登録ができるわけではありません。
不動産広告における倉庫という表示と、倉庫業法に基づく営業倉庫として必要な条件は、分けて考える必要があります。
特に、用途地域、建築関係資料、建物の構造、施設設備基準、賃貸借契約の内容などを確認することが重要です。
倉庫業登録を前提として物件を探している場合には、賃貸借契約を締結する前に、登録に必要な条件を整理しておくことをおすすめします。
東京・神奈川で倉庫業登録を検討されている方は、不動産会社から紹介された物件についても、お気軽にご相談ください。
倉庫業登録についてお困りではありませんか?
不動産会社から紹介された倉庫の登録可能性や、
倉庫業登録に必要な条件など、
お悩みの方はお気軽にご相談ください。
東京・神奈川の倉庫業登録をサポートしています。

