これから借りる倉庫を行政書士に確認してもらえますか?
「倉庫業を始めたいのですが、候補となる物件が見つかりました。契約前に行政書士へ相談できますか?」
「不動産会社から倉庫を紹介されていますが、その建物で倉庫業登録ができるのか分かりません」
倉庫業を始めようとする方の中には、このような疑問をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
結論から申し上げると、倉庫を借りる前の段階でも、行政書士に相談することは可能です。
むしろ、倉庫業登録を前提として物件を探している場合には、賃貸借契約を締結する前に、登録に必要な条件を確認しておくことが重要です。
一般的な倉庫として利用できる建物であっても、他人から寄託を受けた物品を保管する営業倉庫として使用するには、別途確認が必要になる場合があります。
今回は、倉庫を借りる前に行政書士へ相談できる内容や、物件選びで注意したいポイントを解説します。
1.倉庫業登録は物件を借りる前から相談できる
倉庫業登録の相談は、必ずしも物件を契約した後でなければできないものではありません。
候補物件の所在地、建物の図面、建築関係資料、保管予定の商品などが分かれば、登録に向けて確認すべき事項を整理できる場合があります。
例えば、行政書士に相談することで、次のような事項について検討を進めることが考えられます。
- 予定している事業が倉庫業法上の登録対象となるか
- 候補物件が営業倉庫として利用できる可能性があるか
- 建築関係の書類がそろっているか
- 施設設備基準について確認すべき点があるか
- 行政機関や建築士などへの追加確認が必要か
- 登録申請に向けてどのような準備が必要か
ただし、行政書士が物件の登録可能性を事前に確認したとしても、それだけで登録が保証されるわけではありません。
建物の構造や法令適合性などについては、建築士その他の専門家による調査や、関係行政機関への確認が必要になる場合があります。
2.倉庫を借りる前に確認したい5つのポイント
① 建物の所在地と用途地域
まず確認したいのが、候補物件の所在地と用途地域です。
建築基準法では、用途地域などに応じて建築できる建物の用途が制限されています。
そのため、倉庫として使用されている建物であっても、予定している営業倉庫としての利用が建築基準法上認められるかを確認する必要があります。
用途地域だけでなく、地区計画などによる制限が関係する場合もあります。
物件の所在地が分かれば、まずは都市計画情報などを調べ、必要に応じて建築行政を担当する自治体へ確認することが考えられます。
② 建築確認済証・検査済証などの書類
次に確認したいのが、建築関係書類の有無です。
代表的な資料として、建築確認済証、検査済証、建築計画概要書、建物図面などがあります。
特に築年数の古い倉庫では、所有者が書類を保管していない場合や、過去の増改築に関する資料が不足している場合があります。
書類がないからといって、直ちに倉庫業登録が不可能になるとは限りません。
しかし、建物の適法性や構造などを確認するために、追加の資料調査が必要になることがあります。
賃貸借契約前に、貸主や不動産会社へ資料の有無を確認しておくことが大切です。
③ 倉庫の構造と施設設備基準
倉庫業登録では、保管する物品や倉庫の種類に応じて、施設設備基準への適合が求められます。
確認する事項は倉庫の区分によって異なりますが、例えば次のような点が関係します。
- 建物の構造や強度
- 床の強度と保管予定物品の重量
- 防火・消防関係の設備
- 防水や防湿に関する性能
- 防犯設備や施錠設備
- その他、倉庫の区分に応じた施設設備
これらの基準は、すべての倉庫に同一の内容が適用されるわけではありません。
そのため、倉庫の種類や保管する商品を整理したうえで、必要な基準を確認することが重要です。
外観がきれいで設備が整っている倉庫でも、営業倉庫としての要件を満たしているとは限りません。
④ 建物の用途と過去の増改築
候補物件が現在どのような用途で使用されているかも確認しておきたいポイントです。
例えば、自社商品の保管に使用していた倉庫を、他社の商品を預かる営業倉庫として使用する場合、建築基準法上の用途について確認が必要になることがあります。
また、建物が増築されている場合には、増築部分について必要な建築手続きが行われていたかも確認したいところです。
用途変更に伴う建築確認の要否や、既存建物の法令適合性については、建物ごとの状況によって判断が異なります。
必要に応じて建築士や建築行政を担当する自治体へ確認することが重要です。
⑤ 賃貸借契約の内容
建物自体の条件だけでなく、賃貸借契約の内容も確認しておきたい事項です。
特に、営業倉庫として利用することについて、貸主の承諾が得られるかが重要になります。
また、施設設備基準を満たすために改修工事が必要になった場合、工事の実施について貸主の承諾が必要になることも考えられます。
物件によっては、契約上の使用目的が限定されている場合もあります。
倉庫業登録を前提とする場合には、営業倉庫としての使用や必要な工事について、契約前に貸主・不動産会社と確認しておくことが望ましいでしょう。
3.契約後に問題が分かるとどうなる?
倉庫業登録を前提として物件を借りたものの、契約後に登録上の問題が判明する場合があります。
例えば、次のようなケースが考えられます。
- 施設設備基準を満たすために追加工事が必要になった
- 建築関係の資料が不足し、確認に時間がかかった
- 床の強度などについて専門的な調査が必要になった
- 貸主の承諾が得られず、必要な改修工事を実施できない
- 予定していた用途での利用について法令上の問題が見つかった
このような場合、当初の事業計画を見直す必要が生じる可能性があります。
また、賃貸借契約を締結していると、倉庫業登録の準備が進まない間も賃料などの負担が発生することがあります。
そのため、候補物件が見つかった段階で、できる限り事前確認を進めておくことが大切です。
4.行政書士に相談する際に用意しておきたい資料
物件を借りる前に行政書士へ相談する場合、すべての資料がそろっていなくても、分かる範囲の情報から相談を始めることは可能です。
例えば、次のような資料があると、確認事項を整理しやすくなります。
- 候補物件の所在地・住所
- 不動産会社から受け取った物件資料
- 建物の平面図や配置図
- 建築確認済証・検査済証などの写し
- 建物の築年数や構造が分かる資料
- 倉庫内部や外観の写真
- 保管予定の商品や荷物の種類
- 予定している倉庫業の事業内容
例えば、所在地と物件概要しか分からない場合でも、今後どのような資料を取得すべきか整理することはできます。
一方、資料が不足している段階では、登録可能性について具体的な判断が難しいこともあります。
まずは手元にある資料を確認し、不足する情報を整理していくことが重要です。
5.候補物件が複数ある場合も相談できる?
倉庫業を始めるために、複数の候補物件を比較している場合もあると思います。
例えば、賃料の安い古い倉庫と、賃料は高いものの比較的新しい倉庫のどちらを借りるべきか迷うこともあるでしょう。
このような場合、単純に賃料や面積だけで判断するのではなく、倉庫業登録に向けた確認事項も比較することが大切です。
建築関係資料の整備状況、設備の状態、改修の必要性などによっては、物件取得後の負担が大きく異なる可能性があります。
行政書士への事前相談では、候補物件ごとに確認すべき事項を整理し、必要に応じて関係専門家への確認につなげることが考えられます。
ただし、行政書士による確認は、建築士による構造安全性の判定や建物調査などを代替するものではありません。
6.行政書士への相談はいつ行うのがよい?
倉庫業登録を前提として物件を探している場合、候補物件が見つかった段階で相談することをおすすめします。
特に、賃貸借契約を締結する前であれば、確認結果に応じて別の物件を検討したり、必要な改修について貸主と協議したりする余地があります。
一方、すでに物件を借りている場合でも、登録に向けて必要な確認を進めることは可能です。
その場合には、建物の現状や契約内容を確認し、必要な資料や追加対応を整理していくことになります。
いずれの場合も、登録できると安易に判断せず、建物の状況に応じて慎重に進めることが重要です。
7.まとめ|倉庫を借りる前の事前確認が重要です
これから借りる倉庫についても、倉庫業登録を前提とした行政書士への相談は可能です。
倉庫業登録では、物件の所在地、建物の用途、建築関係書類、施設設備基準など、確認すべき事項が複数あります。
一般的な倉庫として使用できる建物であっても、そのまま営業倉庫として利用できるとは限りません。
契約後に問題が判明すると、改修費用や事業開始時期などに影響する可能性があります。
そのため、倉庫業を始めるための物件を探している場合には、賃貸借契約前に必要な条件を整理しておくことが大切です。
東京・神奈川で倉庫業登録を検討されている方は、候補物件の段階からお気軽にご相談ください。
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