自社倉庫の空きスペースで他社の商品を預かるには倉庫業登録が必要?
「自社商品の保管に使っている倉庫に空きスペースがあるので、他社の商品を預かって収益化したい」
「これまで自社の荷物しか置いていなかった倉庫ですが、他社の商品も保管できるのでしょうか?」
このようなことを検討されている企業もあるのではないでしょうか。
既存の倉庫に空きスペースがあれば、新たに物件を借りずに保管サービスを始められるように思えます。
しかし、ここで注意したいのが倉庫業法です。
これまで自社の商品だけを保管していた倉庫でも、他社から物品を預かって保管する事業を始める場合には、倉庫業登録が必要になる可能性があります。
今回は、自社倉庫を活用して他社の商品を預かる場合に、確認しておきたいポイントを解説します。
1.自社商品を保管する倉庫と営業倉庫の違い
まず、自社の商品を保管する倉庫と、他社の商品を預かる営業倉庫では、事業の性質が異なります。
例えば、製造業や卸売業の会社が、自社の商品や原材料を保管するために倉庫を使用している場合があります。
このように、自社の商品を保管すること自体は、通常、倉庫業法上の倉庫業には該当しません。
一方、他社から物品の寄託を受け、倉庫で保管する事業を営む場合には、原則として倉庫業登録が必要になります。
つまり、同じ建物であっても、どのような事業として利用するかによって、倉庫業法上の取扱いが変わる可能性があるということです。
「これまで問題なく倉庫として使っていたから大丈夫」と判断せず、新たに始めるサービスの内容を確認することが重要です。
2.他社の商品を預かると必ず倉庫業登録が必要?
他社の商品を取り扱う場合でも、すべてのケースで倉庫業登録が必要になるわけではありません。
倉庫業法では、原則として、寄託を受けた物品を倉庫で保管する事業を営む場合に登録が必要とされています。
そのため、実際にどのような契約で、どのようなサービスを提供するのかを確認する必要があります。
例えば、次のような点が重要です。
- 他社から物品の保管を引き受けるのか
- 保管中の物品について、どのような管理責任を負うのか
- 保管場所を貸すだけなのか、物品自体を預かるのか
- 保管サービスを継続的な事業として提供するのか
- 倉庫業法上の適用除外に該当する事情があるか
特に重要なのは、単にスペースを貸す契約なのか、物品の寄託を受けて保管する契約なのかという点です。
ただし、契約書の名称だけで判断できるものではありません。
実際のサービス内容や物品の管理方法などを踏まえて、登録の要否を検討する必要があります。
3.空きスペースを貸すだけなら倉庫業登録は不要?
自社倉庫の空きスペースを他社に貸す場合には、倉庫業登録が必要かどうかの判断が異なる可能性があります。
例えば、倉庫内の一定区画を賃貸し、借主が自ら物品を搬入・保管・管理する場合には、一般的な不動産賃貸借として整理されることがあります。
一方、倉庫の所有者や運営者が他社から物品を預かり、入出庫や保管管理を引き受ける場合には、倉庫業に該当する可能性があります。
ただし、スペース利用契約や業務委託契約などの名称を付ければ、当然に倉庫業登録が不要になるわけではありません。
実際に誰が物品を管理し、どのような責任を負っているのかなど、契約の実態が重要です。
サービス開始前に、契約内容と運営方法を整理しておくことをおすすめします。
4.保管料を受け取る場合の注意点
自社倉庫の空きスペースを活用して、保管料を得たいと考える企業もあるでしょう。
他社から物品の寄託を受けて保管する事業であれば、保管料を受け取る形態は倉庫業登録の要否を検討するうえで重要な事情の一つになります。
ただし、保管料という名称の料金を受け取っているかどうかだけで、倉庫業への該当性が決まるわけではありません。
また、料金を別の名目にしたり、無償で預かったりすれば必ず登録が不要になるというものでもありません。
事業としての実態や契約関係などを確認する必要があります。
新たに保管サービスを始める場合には、料金体系だけでなく、サービス全体の仕組みを整理することが大切です。
5.自社倉庫を営業倉庫にする場合は施設設備基準の確認が必要
倉庫業登録が必要となる場合には、事業内容だけでなく、倉庫そのものが必要な施設設備基準を満たしているか確認する必要があります。
これまで自社商品の保管に使用していた建物であっても、そのまま営業倉庫として利用できるとは限りません。
倉庫の区分や保管する物品に応じて、例えば次のような事項を確認します。
- 建物や床の構造・強度
- 防火に関する性能や設備
- 防水・防湿に関する性能
- 防犯設備や施錠設備
- 消防法に基づく設備
- 建築基準法などの関係法令への適合状況
必要となる基準は倉庫の種類などによって異なります。
例えば、これまで重量物を保管していた倉庫でも、床の強度を確認するための建築関係資料が十分に残っていない場合があります。
また、既存の設備だけでは基準を満たせず、追加工事が必要になる可能性もあります。
営業倉庫として使用できるかどうかは、建物の現況や関係資料を踏まえて確認することが重要です。
6.自社商品と他社商品を同じ建物で保管できる?
自社倉庫の空きスペースで他社の商品を預かる場合、自社の商品と寄託を受けた商品を同じ建物内で保管したいというケースがあります。
このような計画についても、営業倉庫として使用する範囲や管理方法を整理したうえで検討する必要があります。
例えば、次のような点が重要です。
- 営業倉庫として使用する区画を明確にする
- 自社商品と寄託物品の保管場所を整理する
- 寄託物品の管理方法を定める
- 入出庫や搬出入の動線を確認する
- 必要な施設設備基準への適合状況を確認する
ただし、区画を分ければ必ず登録できるというわけではありません。
建物の構造や施設設備基準によっては、間仕切りや設備の追加が必要になる場合もあります。
また、建物の一部分だけを営業倉庫として使用する場合でも、屋根や外壁、消防設備などについて、建物全体との関係を確認する必要があることがあります。
7.倉庫業登録以外に確認したい法令
自社倉庫で新たに他社の商品を保管する場合には、倉庫業法だけでなく、建築基準法や消防法などの確認も重要です。
例えば、建築基準法上の用途が自家用倉庫として整理されている場合、倉庫業を営む倉庫として利用することについて、用途地域による制限や用途変更に関する手続きの要否を確認する必要があります。
また、保管する物品の種類や数量によっては、消防法上の規制が関係する場合があります。
特に、危険物に該当する物品を取り扱う場合には、一般的な物品とは異なる規制が適用される可能性があります。
必要に応じて、建築士や建築行政を担当する自治体、管轄消防署などに確認することが大切です。
8.新たに保管サービスを始める前に整理したいこと
自社倉庫の空きスペースを活用して他社の商品を預かる場合には、事業開始前に次のような事項を整理しておくことをおすすめします。
- 誰の商品を預かる予定なのか
- どのような種類の物品を保管するのか
- 寄託を受ける事業なのか、保管場所の賃貸なのか
- 物品の入出庫や管理を誰が行うのか
- 保管中の責任や契約条件をどう定めるのか
- 営業倉庫として使用する範囲はどこか
- 建物の図面や建築関係資料はそろっているか
- 追加の設備工事が必要になる可能性はあるか
これらを整理することで、倉庫業登録の要否や、登録が必要な場合の準備事項を検討しやすくなります。
なお、事業内容によっては倉庫業法上の適用除外などに該当する場合もあるため、個別の確認が必要です。
9.行政書士に相談するタイミングは?
自社倉庫の空きスペースを活用して新たな保管サービスを始めたい場合には、取引先との契約締結や設備工事を進める前の段階から相談することをおすすめします。
例えば、すでに他社との保管契約を締結した後で倉庫業登録が必要だと分かった場合、予定していたサービス開始時期や契約内容の見直しが必要になる可能性があります。
また、施設設備基準を満たすために改修工事が必要になれば、費用や準備期間にも影響します。
行政書士への相談では、予定しているサービス内容や建物の資料などをもとに、倉庫業登録の要否や、登録に向けた確認事項を整理することが考えられます。
ただし、建物の構造や建築基準法への適合性など、専門的な判断が必要な事項については、建築士や関係行政機関への確認が必要になる場合があります。
10.まとめ|自社倉庫でも他社の商品を預かるなら事前確認を
これまで自社の商品だけを保管していた倉庫でも、他社から物品を預かる事業を始める場合には、倉庫業登録が必要になる可能性があります。
特に重要なのは、保管場所を貸すだけなのか、他社から物品の寄託を受けて保管する事業なのかを整理することです。
また、倉庫業登録が必要となる場合には、既存の建物が施設設備基準や関係法令に適合しているかも確認する必要があります。
空きスペースを有効活用するためにも、新しいサービスを始める前に、事業内容と建物の条件を確認しておくことが大切です。
東京・神奈川で倉庫業登録を検討されている方は、お気軽にご相談ください。
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